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X(旧Twitter)の避難所

20230401

 無料で公開されている真船一雄『K2』(講談社、2004年~)を160話あたりまで読んだ。Kのメスの秘密や一也の出生・クローン関連の中長期的な、根幹に関わるストーリーを横に置いておくとして、問題発生→治療や手術、問題解決の2話完結を遵守すれば、その間に時事ネタや描きたいドラマを自由に投げ込める週刊連載(隔週連載)のフォーマットがあると感じる。そのフォーマットはもちろんこの作品に限った話ではない。
 作品の特徴について。作風の根底には大きなヒューマニズム(としか言いようの無い何か)がある。医療漫画はどうしてもヒューマニズムと向かい合わなければならない定めなのかもしれない。
 個人的には、医療をめぐるあれこれの局面というよりは、海外からいわば出稼ぎに来た労働者を支える社長の描写を見てそう思った。なにぶん労働問題の険しい現実を見聞きしていると、善性を持つ使用者の姿を想像しにくくなるのかもしれない。小中学校の図書室に配架しても良いのでは……とも思ってしまう(良質な作品について、「これは図書室に……」と言い出すのは老害ムーブでしかない)。
 作品の特徴についてもうひとつ。ボクシングや相撲といったスポーツ描写が本当に技巧いと感じる。人体の構造を描く画力の水準が高いので何でも描けるといったところか。
 「医療因習村」「ギュッ」等のおもしろ要素等、語る点はまだまだ多い。なおこの時点ではまだ宮坂詩織は出てきていない。はやく"萌え"させてくれ……。